予防医学としての東洋医学が、年々注目を集めています。
予防医学とは、病気を予防するための医学のこと。
病気を予防するための対策・健康管理全般を指します。
一般的に予防医学には、以下のように、多種多様な項目が含まれます。
健康診断/人間ドッグ
PET-CT検査などの早期に病気を発見するための検査
予防接種
重症化しないための治療
リハビリ
日常的な運動や食の改善
精神的な疾病の予防
これだけ多岐にわたる選択肢がある中で東洋医学が重要視されているのには、はっきりとした理由があります。
その一つは、まず、東洋医学の「健康観」が明確で揺らぎがない事でしょう。
2000年以上前の東洋医学の聖典『
未病の状態のうちに身体の状態を理解し、予防するのが重要だという東洋医学の哲学は、現代においても何ら変わるところがありません。
そして、その予防に対するアプローチも独特です。
西洋医学を始め多くの医療では、「理想的な基準値」が設定されます。
例えば、
総コレステロール値が139以下なら要注意、血糖値が 126 以上なら赤信号といった具合です。
全ての患者は設定された基準値に近付ける事が重視され、また数値が基準範囲内であれば、いかに自分自身で不調を感じていても「異常なし」と判定されてしまいます。
一方、東洋医学では、誰にも通用する「基準値」はありません。一人一人の今・この瞬間の心身の状態において目指す事が出来る最高のバランスこそが健康です。
この考え方においては、「規範的な健康」は存在せず、どんな人もどんな場面でも能動的に健康を目指す事が出来るのです。これは高齢化が進む現代において大きな希望になるのではないでしょうか。
3点目としては、東洋医学の合理性が挙げられます。
東洋医学には、「弁証論治」という非常に論理的・体系的な診断・治療の方法があります。
詳しくは後日ご案内しますが、診断一つを取っても、
まず、陰陽・虚実・表裏・寒熱といった体質の分類から始まる「
これらは、実際の診療から長年の歴史を経て編み上げられた論理のため、非常に合理的で実践に適しています。
これこそが、東洋医学が専門家にも尊ばれる理由だと思われます。
興味深いのは、このように違う方法論を経た東洋医学の弁証と、全く異なる考え方・理論を用いた西洋医学の検査で、非常に似通った結果が出ることが少なくないという事実です。
これは、東洋医学・西洋医学が共に進歩してより精密な結果を得られるようになったことの証でしょう。
ぜひ、両方の知識を得て、より効率的な予防をすることにより、健康寿命を伸ばしていきましょう。
まとめ
東洋医学は、2000年以上前から、未病のうちに身体を治す「予防医学」を実践してきた。
東洋医学における健康とは、誰にも通用する「基準値」に近付く事ではなく、自身の感覚を最優先にした「バランスの良さ」。誰もが最後まで諦めず、自分の健康を目指す事ができる
東洋医学は、論理的で合理的。理論と実践の繰り返しから得た知恵に満ちています。
ここまで見てきたように、東洋医学は、ことさらに「予防医学」と名付けずとも、当然のように予防の概念を含んだ医学です。
よく知られているツボ(経穴・経絡)から身体を整える鍼灸やすいな(マッサージ)に、食事を治療につなげる食養(いわゆる薬膳・漢方)をはじめ、生活の中で手軽に実用できる知恵に満ちています。
ただ実践するのでももちろん有用ですが、理論を知れば、より効率良く未病を予防していくことが出来ます。
次回から、いよいよ、東洋医学の学びを深めていきますので、お楽しみに!
オンライン東洋医学講座4:「東洋医学の根本思想「整体観念」」へ進む(2019年4月公開予定)
東洋医学は、個々人が日々の生活に簡単に取り入れることができます。あらゆる情報が手に入る現代において、西洋医学・東洋医学両方の知識を得ることは、ご自身やご家族など周りの方の心身の健康の大きな助けになるはずです。今後、本ホームページから様々な知識を分かりやすくご紹介してきますので、ぜひご活用ください。
また、ご自身や周りの方の健康管理に生涯役立つ基礎知識や養生に最適な気功法を丁寧にご案内しますので、お近くの方はぜひレッスンにいらしてください。
0件のコメント