2019年現在、中国の医療現場では東洋医学(中医学)と現代西洋医学が共存しています。
医師免許にも東洋医学(中医学)の医師「中医」と西洋医学の医師「西医」の2種があり、それぞれを取得するための大学で、学位を取得し、国家試験に合格する必要があります。
どちらを選んだ場合も、専門分野だけでなく、もう一方も学習過程に組み込まれ、かなりハイレベルな知識を得ることが求められます。
患者が受診する際は、東洋医学・西洋医学のどちらを専門とする病院を選び受診しますが、どちらにも、もう一方の専門家が常駐するケースが大半で、近年では、東洋医学と西洋医学を併用する「統合医療(中西医結合医学)」を掲げる病院も増えています。
また、薬局でも、「中药(漢方薬)※1」と「西药(西洋薬)」どちらが良いか尋ねられ、それぞれの専門家による説明を受けることができます。
「統合医療」においては、例えば、
漢方薬と西洋薬を患者の病状を考慮して最適なタイミングで併用します。
外科手術の前後に推拿施術や鍼灸を取り入れ、よりスムーズな回復を引き出します。
アトピーのひどい炎症をまずステロイドで抑え、その後は、東洋医学の食養指導と漢方薬で免疫力を上げて再発が起きない体質を作ります。
私の気功・東洋医学・太極拳の全てのクラスでも、西洋発の解剖学や、量子力学を取り入れています。
このような「真に患者のため」になる医療体系を作り上げるのは容易ではありませんでした。
近代西洋医学の観点では、東洋医学は、時に、「科学的でない迷信」であり、逆に、東洋医学の観点では、多くの西洋医学の治療は、時に「長期的視野を持たないバランスを欠いたもの」で、双方に大きな反発があったからです。
しかし、分野を越えた先駆者らの並大抵ではない努力と苦心が実り、東洋医学のエビデンスに基づいた「科学的」な証明が為された事で、現在では、中国のみならず、日本の多くの病院・クリニックにおいても漢方薬の選択ができるまでになり、西洋でも高い人気を誇っています。また、民間で活用されるのみにとどまらず、国際連合機関であるWHO(世界保健機関)が「国際疾病分類(ICD)」に、伝統医療の章を加えたことも大きな話題になりました。(参考:WHO「国際疾病分類の第11回改訂版(ICD-11)[en]」)
他にも、例えばインフルエンザの治療に漢方薬の「麻黄湯」が選択肢として有効であると、多くの西洋医学の医師が述べ、医師専門サイトでは漢方の処方について西洋医学の医師が多く学んでいます。もちろん逆もしかり。今多くの東洋医学の医師は、当然の様に西洋医学の解剖学の知識を学びます。
東洋医学のページでも述べた通り、東洋医学は、身体全体のバランスを整えて自然治癒力を引き出し、長期スパンで身体を根本から良くすることを目指す医学で、西洋医学は、不具合の出た箇所を重点的に、短期間で治す事を主とする医学です。
それぞれの特徴があり、どちらにも優れた点があります。
日本では、1874年(明治7年)の医師法改正により、 東洋医学発祥の漢方医学を廃止し、西洋医学を重視する政策を取ってきました。そのため、深い考えを持たない東洋医学に対する偏見がいまだに色濃く根付いてしまっていますが、日本にもかつては根付いていた優れた医学・東洋医学を活用しないのはもったいないと言わざるを得ません。
今や情報を自由に取捨選択しより良いQOL (Quality of Life)を、一人ひとりが高めていける時代になりました。未病や不定愁訴にも対応できる医学・東洋医学をこの機会にぜひ身近なところから取り入れてみてください。
※1. 中国の中药は、東洋医学で使用する薬全般を指し、正確には日本の漢方薬とは異なります。
オンライン東洋医学講座3:「予防医学としての東洋医学」へ進む
オンライン東洋医学講座1:「東洋医学の母・中医学の成立と発展」へ戻る
東洋医学は、個々人が日々の生活に簡単に取り入れることができます。あらゆる情報が手に入る現代において、西洋医学・東洋医学両方の知識を得ることは、ご自身やご家族など周りの方の心身の健康の大きな助けになるはずです。今後、本ホームページから様々な知識を分かりやすくご紹介してきますので、ぜひご活用ください。
また、ご自身や周りの方の健康管理に生涯役立つ基礎知識や養生に最適な気功法を丁寧にご案内しますので、お近くの方はぜひレッスンにいらしてください。
0件のコメント