気功は、体外の気を効率的に取り入れ、体内の気をコントロールすることで、自らの生命力を高め、心身を健康にする技術です。また、中国で約5000年以上の歴史を持つ人生をより良く生きるための智慧でもあります。

気とは

気は、全ての基礎単位です。
人を含む全てのものは、気が集まることで成り立ち、生命をつなぎ、時期がくれば散って再び気に帰ります。

また、気は生命のエネルギーと考えると分かりやすいかもしれません。
人の体内にも、自然界にも、宇宙空間にも気は満ち溢れ、流動的に形を変え続け巡り続けています。

気は本来、純粋で清く美しいものです。何らかの原因で気の質が悪くなったり、気の巡りが滞ったりしたならば、気功の技術でそれを改善していくことができます。

気功の種類

気功には、様々な種類があります。

気功の歴史は、4,000年から5,000年以上前から始まります。これだけの長い間、伝承され、多くの人が携わり切磋琢磨して新しい功法を考案してきたので、この様に多くの種類の気功ができるのは、ある種当然とも言えるでしょう。

まず、武術としての気功「硬気功」と健康(美容)や治療を目的にする「軟気功」があります。気功の本場・中国では分けて語られる場面は多くありませんが、分かりやすいですね。

そして、健康・治療を目的にする軟気功の中には、気を自ら体内でコントロールする「内気功」と体外の気を積極的に摂り入れていく「外気功」があります。

それぞれの手法として、身体を動かしながら気をコントロールする気功「動功」と身体を動かさずに気をコントロールする気功「静功」があります。

私は、初心者の方には、まず「外気功」の中の「動功」をご案内しています。

ゆったり心地よく動きながら、美しい自然の気をありがたく頂く気功は、雑念が入り込みにくく、集中しやすく、結果、スムーズに気をコントロールしやすくなるからです。
ステップアップした方には「内気功」を、ご希望の方には「静功」もご案内します。

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気功の効果

気は、肉体(精)と心・意識(神*1)をつなぐ生命エネルギーです。
気が充実し、スムーズに巡れば、身体と心は健康になり、気が乏しくなったり、巡りが滞れば、身体も心も働きが鈍くなり、不調に陥ります。

気功は、その気の流れを良くしてより良い気を吸収する技術であり、心身の不調を改善し、本来の健康を取り戻し、未病を防ぐ養生法です。

気功は、気血の流れを調えます

中医学において、気には5つの働きがあると説明されています。

 推動:体内の血や水の流れ、経路の働きや各器官の発育をサポートする作用

 防御:体内に外邪が入るのを防ぐ作用

 温煦:熱を発し体温を一定に保ち、体内の血や水、臓器などの働きをサポートする作用

 気化:身体に取り入れた気を血に転化するなど、形を変える作用。汗や尿、排泄物を生成する作用も含む。

 固摂:血が血管外に漏れ出ないようする、多汗を防ぐなど、身体の中の位置をコントロールする作用。

気功の動作やイメージは、気を調整することで、これらの各作用をスムーズに働かせ、生き生きとした身体を作ります。

ちなみに、西洋医学の観点では、血液は身体の細胞に栄養を運び、老廃物を受け取り排泄する役割を担っていますが、この点を考慮しても、気功で身体をリラックスさせ筋肉をゆるめて、全身の毛細血管が拡張し血流が良くなった状態を作ることは大変効果的です。

脳疲労を取る気功体操を1日3分から始めよう

また、気功の動作やイメージの多くは、気が流れる脈「経脈」「絡脈」や、気が集まる場所「反射区(ツボ)」に働きかけて、効率的に身体をメンテナンスします。これらの身体を調整する効果を総じて「調身」と呼びます。

気功は心の不調にも効果的です。

中医学では、気の流れを良くすることで、五臓六腑が整って感情が安定すると考えます。

例えば、現代の日本でも「ストレスで胃が痛む」事は一般的に知られていますが、中医学でも「胃・脾臓」は「思う(悩む)」感情を司り、これらの臓器の不調を正すことでストレスも解消される可能性があると考えます。
そして、心の不調を治すための正式な医療行為として、漢方薬や鍼灸治療が行われることもあり、気功もそれらの治療の一貫です。
五臓の働き|望永航史
ちなみに、西洋脳神経医学の研究から、脳の「大脳辺縁系」は自律神経を司り、本能や記憶・感情を制御し、その中の「海馬」は、主に記憶を司り、扁桃体は感情を司り、例えばストレスホルモン「コルチゾール」が大量に長期間分泌されると、海馬で脳の神経細胞を損傷させることが明らかにされています。

この点から見ても、脳の「大脳辺縁系」を刺激する気功は、認知症やうつ病の対策を含め、心の不調を自然に治すのにも最適であることが分かります。

また、気功においては、人間の「意識」やそこから出る「言葉」も気です。そう理解していると、自分の身体が美しい気で満たされ、それが周囲にも広がっていくイメージは、あなたを癒やし、健康面でも、人生においても着実に良い方向に向かう指針になってくれるでしょう。

気功は脳を活性化します。

先程、脳の「大脳辺縁系」は自律神経を司り、本能や記憶・感情を制御することをお話ししましたが、ここがうまく働いていないと脳に疲れがたまってきます。いわゆる「脳疲労」というものです。

そのため、雑念をシャットアウトして、心を平安に保つ気功には、脳を一時的に休ませ、脳をリフレッシュさせ、脳疲労から人を回復させる効果があります。

また、記憶を司る「海馬」は、つながりを作る働きがあります。例えば自分にとって悲しい経験があると感じている時、その「経験」と「悲しみ」を結びつけるものの1つが「海馬」なのです。

ということは、例えばその「経験」と「喜び」を結びつければ、あなたの苦しみは開放されるという事です。

海馬が作る記憶と情動

気功で脳を刺激してイメージする機会を増やしていくことで、このような結びつきの能力が育ち、様々な場面で役に立つでしょう。

今や、GoogleやApple、Intelなど、業界を問わず世界の名だたる企業が「マインドフルネス」という気功にある種似たメソッドを取り入れているのは、西洋脳神経医学の発達により、このような部分にスポットが当たるようになった経緯がありますが、それを古くから実践してきたのが気功なのです。

気功に特別な能力は必要か

気功には、何か特別な超能力や霊能力のようなものが必要だと考えている人は少なくありませんが、これは完全な誤りです。

気功は誰にでもできます。

気功に難しい動作はありません。
身体が硬くても、怪我をしていても、病気があっても、寝たきりだったとしても大丈夫です。気功は、どんな人にも流れている気の流れを良くして、より良い気を吸収するための技術であり、養生法です。

瞑想や呼吸法が苦手な方でも大丈夫です。
動きながら動作を行うので、いつの間にか呼吸が深く楽になり、瞑想しているかのような状態に至ります。構えずに実践してみて下さい。

気功に道具はいりません。

気功には特別な道具も薬も必要ありません。
身一つで、いつでもどんな状況でもできて、どんな時にでもあなたを助けてくれるのが気功です。

気功は、宗教ではありません。

気功は、宗教ではありません。

4000年以上昔に書かれた中国の古典書「管子」には、気功は鬼神の力ではなく、人間の精気の賜物であるとして、以下のように書かれています。

「思之思之、又重思之、思之不通、鬼神将通之。非鬼神之力、精気之極也…」

歴史上において、気功が宗教と共に成長を遂げてきた経緯はありますが、現代の気功は、すでに科学的・医学的にも解明されつつあり、更にインターネットなどの新たな回路を取り入れた新時代を迎えています。

私の教える気功にも、宗教色は一切なく、気功の本分である論理的で有機的な「気功科学」「気功医学」で心身の健康と自由を得る事を目指しています。

気功の醍醐味

ここまで気功に関する一般的な疑問を取り上げてきましたが、中国の医学・生命科学と思想哲学に裏打ちされた気功にはまだまだ多彩な側面があります。
心身の健康を促進しながら、これらの側面を味わい、学ぶことで、より豊かな人生を送ることができると確信しています。

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